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ポレポレな休日

ポレポレ(ゆっくりゆっくり)

居場所が整うと日常が生まれます。一応僕には今、家がある。ありがたいことです。ここに来てからすでに1週間が経ちます。これまでの時間の流れに比べると急に速度を増しました。元々の生活の近いところにいます。そういえば日本では、こんなか、それよりも早く時間は過ぎていた。


土曜日はお菓子でも買って施設に行こうと思って8時に起床。エリックが起きたら洗濯をして、ショッピングセンターに寄るつもりでしたが彼がなかなか起きてこない。口癖が「疲れた」である彼は前日よほど疲れていたのでしょう。夜10時に寝て、起きたのは翌朝11時のことでした。眠りを妨げたくはなかったので僕はリビングにいるしかない。仕方なく青空文庫で読みかけだった江戸川乱歩の「パノラマ島綺譚」を読み始める。読了してもまだ起きる気配はなく、次は太宰治の「正義と微笑」。高校時代の心情を思い出す。同じことを自分も確かに思っていたと、当時に読めていたらという小説でした。日本語を集中して読んでいるときに不意に英語で話しかけると僕の英語力は著しく低下しているのでした。


ケニアは物価がそれなりに安い。例を出すとコーラの500mlのペットボトルは60円。ビールも500mlの瓶が150円で飲める。近所のモールで、1kgのクッキー、チョコのクッキー、大袋のポテチを買うと計800円ほどでした。施設では小さいガムのほかには、子供達がお菓子を食べているところを見たことがない。どうしても食べさせてあげたくて学校のない土曜日に持っていくことにしました。ダンに渡すと、こんなにたくさんと喜んで。彼が一人ひとりに配ってくれました。ポテチをひとすくい、2枚入りのクッキーを一袋、チョコのクッキーは1枚ずつ。しっかりと分け合い、それ以上求めるようなこともない子供達。えらい。学校には他所からも通っている子らがいると述べました。その子らは授業の合間にも遊びなのか喧嘩なのか、殴り合ったり蹴り合ったりでしばしば止めることに苦労させられます。ここで暮らすみんなは対照的に、お互いへの尊敬がよく伝わる。欲張ることもない。本当に幼くして素晴らしい性格の持ち主たちです。集中して勉強することは苦手みたいだけど、照明もない教室の中、食後の授業は僕も眠気と闘わずにはいられません。明確に教えることが決まってもいないから考えさせられる。時間割も自分が均等になるように決めています。「これとこれ、どっちをやりたい?」と尋ねて、多い方を教えたり。キリスト教の授業は信者でない僕が教えていいものかと思いますが、やるしかない。さっそく一章から家族の尊さについて。「子供は両親と言うことを聞き、従わなければいけない。」これは教えながら両親一緒にいることの叶わない彼らの感情を害さないかと悩まされます。でもこの授業が好きな子はとても多い。お菓子の中でも特にチョコのクッキーをとても大切そうに、ゆっくり味わっていました。喜んだ顔を見られて何よりも嬉しいけれど、悲しい。クッキーを袋の中で砕き、粉にして少しずつ食べる姿。今度はエリックとピザを持っていこうと計画しています。食べたことのない子らもたくさんいるので、どんな顔をしながら食べてくれるか楽しみではあります。


カナダ人のナイラを連れて行くと、そこに住む女の子は「彼女はとても美人だわ」と真剣な顔をして言います。僕に言わせると彼女の方が魅力的に映るのですが、それを伝えたところでまだ2週間あるここでの生活に支障をきたすばかりな気がして。今日のところは閉口するのでした。そしてこのカナダ人の女性についても、もう1週間同じ屋根の下で暮らし、この日もモールでお菓子を買い孤児院までの間ずっと一緒だったにもかかわらず、僕は彼女の名前を把握していませんでした。子供たちと挨拶するのを聞いて「そうだ、ナイラだった」と、帰り道に初めて名前を呼んでみる。ほとほといい加減だなと思います。言い訳をすると様式の違う外国の名前はすっとは頭に入ってくれない。生徒の名前も必死に憶えようとするのだけど、よく間違えて不満な顔をされます。ナイラもやはり大学に通う20歳。獣医になるために勉強しています。僕らとは違う団体を通してナオミの家にホームステイ中。彼女は動物病院のような所に平日は通い、動物たちの世話や予防接種などをしているようです。毎日帰宅後、顔を合わせるたびにその日起こった一番悲しかったことを決まって話してくれて、僕も悲しい気持ちにさせられます。足の折れてしまった犬の安楽死されるのに立ち会ったり。沈痛な光景ではありますが、彼女も全く文化の異なるケニアで貴重な経験を積んでいるようです。普通に道路を歩くヤギにも近寄っていき嬉しそうに触ろうとする彼女も、きっと心根の優しい人であろうと信じています。最初の4日間は母親も一緒に来ていて、パワフルという言葉が似合うような声と体型をしてらっしゃいました。ナオミとの会話が多少やかましかったので、帰国を知った際はちょっぴり安心。当たり前のようにしょっちゅう話しかけてくれるので、いい英語の勉強になりますが、聞き取れなかった時は何度も聞き返してくるので疲れているときには距離を取るようにしています。笑い上戸なので、よく笑いながらジェスチャー付きで"That's so funny."と言う。明確な理由はなく、説明もできませんがこの言葉の言い方がとても好きです。26日まで滞在するそうなので、彼女とも同じく後2週間を共にします。白人のナイラ。白人の母と、ブラックアメリカンの父を持つエリック。黒人のナオミ。黄色人種の僕。今は4人家族として暮らしています。心地よい環境です。 


この日の夜はエリックと2人、近くのパブに飲みに行きました。2017年初めてのビール。疲れたらこれです。音楽を求めて、相棒のアメリカ人はズカズカとカウンターに入っていき曲を選ぶ。ダンスが板についていて、現地の30度以上あるお酒を飲み続ける彼。周りの人と踊りはじめる。根っからのパーティーピーポーでした。従業員の女性3人が髪型、化粧は違えど、全く同じ体型をしていたのがツボでした。簡単に描こうとすると線よりも丸が役に立つ。ここまでにしておきます。酔っている時に聴く音楽は、やっぱりウルフルズが至高です。いぇーーーーーーい。


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そして訂正。ナオミについて僕は誤解をしていたようで、彼女は独身。初日にいたのは姉の子供らしい。ナイラにそっとナオミの夫について尋ねた時に事実が判明しました。こんな間違いは、道中たくさんしてきていると思います。プアイングリッシュめ、退治してやる。


誰の言葉であったか「ものを書きたければ、旅に出ればいい」というような偉人の名言に触れたことがあります。これは本当にその通りで、日本にいるときは望みながらなかなか筆の進まなかった僕も、毎日のように長さのある文章を書くことができています。旅様様です。日本での日常に戻っても続けられるのかな。