毛の話

今日からオレは。

ロン毛。突然ですが、だいぶ髪の毛が伸びました。触った感覚で今日から自分にロン毛認定。何かが昨日とは違う。本当に今更ですが、「ブロッコリートラベルザワールド」由来は直接お会いできれば理解していただけると思います。生まれた時からの激しい天パ。くせ毛の両親から生を受けたサラブレッド。中高、クラスでまずはじめにあだ名がつけられる。確実に後ろ姿で正体がわかる、数少ない人間の1人です。流行らない長髪ですが、不思議と僕の憧れを抱くカッコいい大人は髪の長い人が多い。就活を控えて(1年スルーして)、これが最後のチャンスと可能な限り伸ばして日本に帰国しようという腹づもりです。まだ一度もドライヤーを使えていない、傷むばかりで真剣に考えると今の髪型でいいことなんてほとんどありません。「考えるな、感じるんだ」。先述の通りおもちゃのない孤児院で、これが子供達のいい遊び道具になる。毎日のように、編み込まれたり結ばれたりと、僕の髪はたいへん人気を博しています。強みはそれくらい。こんな姿で日本を歩いたら、自分の満足とは他所に親はすごくイヤでしょう。


アフリカの人たちは9割以上、くせ毛です。感動すら催すほど縮れている。彼らを見ていると自分のはむしろストレートに思えてきます。ほとんどの男性は坊主です。それがよく似合っている。稀に伸ばしている人を見かけると、ああこの人は心は多くレゲエによってできているのだろうと思ってしまう。ドレッドというヘアスタイルはごっつい機械に何時間も拘束された後、完成するものだと思っていました。代々木公園に出没するような、安いサングラスをかけ、何に使うのかブブゼラを持ったようなメイドインジャパンのドレッドはその通りかもしれません。しかし本場のこれは、元の髪質をフルに活用できる数少ないヘアスタイルであることがわかりました。


女性の場合も年配の方は短髪であることがほとんどです。年頃、若い女性は編み込みを入れているか、ストレートで一目でわかるコテコテの鬘をつけているか。編み込みの場合、日本のショートヘアほどに伸ばした自毛に赤や緑の人工毛を繋ぎ合わせています。タンザニアやケニアの人たちは美意識が高く、道を歩いていると1人が座れるようなバーバリーを沢山見かけます。髪の色に合わせて、赤い服で揃えている姿を捉え、洒落ていると思いました。並ぶように洋服屋も多くある。市場に並べられた衣服は肌着にいたるまでセカンドハンドであることが明らかです。白でも白くない。子供に髪を編み込まれた経験から、これは解くのも一苦労なのでどうケアするのかと思いましたが、あまりシャワーを浴びないようです。想像するだけでも頭が痒くなってきますが、確かにそんな髪型の女性の頭に顔を近づける時はなかなか芳しい臭いがします。野性味があってそんな不快ではない。アフリカの人たちは男性でも腕や足に毛が生えていないことが珍しくありません。きっと暑い気候に合わせて、何世代に渡って体はそれが不要であると判断を下したのでしょう。それでも髪や髭は生えるから、DNAは機能とともにルックスも保とうとするのかな。


また様々な国の人とプールに浸かった経験から、髪の毛の色が基本的に身体中の毛の色とリンクしていることがわかりました。すね毛は黒しかイメージできなかった自分ですが、大いに知識不足、経験不足でした。金色に風になびくすね毛なんてお洒落がすぎます。なにか黒い毛の茂った自分の足がいやに醜く見えてきて、隠してしまいたいような気分になるのでした。元は同じ人間でありながら、移住した地域の環境に合わせてこれだけの差が生まれる。これは考えると壮大な物語がそこにはあって1日暇を潰せそうです。ヨーロッパで生まれつき白い毛を持った女性と親しくなりたい。映画などに映るそれらの人は、外見だけで思慮深そうで、神妙な印象を湛えている。とことんアホな白髪美女に出会えたら、きっと強く安心すると思います。


この髪の毛のおかげか、街中でレゲエ万歳なお兄さんに「へい、兄弟」と話しかけられたり。純な日本人だと伝えたら、髪型を理由に怪しまれたりと日本を離れてもそれなりにアイデンティティとして機能してくれているみたいです。信じてもらえないかもしれませんが、どんな肌の色の女性からもこの髪型は好評で、よくお褒めに預かります。「素敵な髪をしてるわね」「あなたの髪、好きよ」そういえば髪以外は褒められたことがないぞ。これはよりこの毛を大事にしていかなければ。それにアジア系の人からはまだお言葉をいただいていない。僕が住むべきは日本ではないのかもしれません。


こんなふざけた文章ですが、書くと自分を元気付けてくれる力がある。お付き合いいただき、ありがとうございました。元気だから書くのか、書いたから元気なのか。


f:id:GB_Huckleberry:20170112225022j:plain