ミイラさん、こんにちはー

ラクダに一生懸命にしがみつき続けた翌日は筋肉痛が激しくて。それでも、少し行けば世界遺産が待っているのがエジプトです。あの有名なツタンカーメンの黄金マスクも、宿から15分ほど歩いたエジプト考古学博物館にある。昼前まで1日の予定を考えて、その博物館とムハンマドアリーモスクに行くことを決意。ここで同部屋だったアメリカ人のデリック、ブラジル人のアラン。60代、40代、そして20代の3人。陽気な2人に引っ張られて進むトーク。こういうのは、英語の上手い下手ではなく人間性だと教えてくれたアランの姿。マルタ島で留学したのち、今はエジプトで服飾の勉強をするそうです。頑張ってる人は、どこにいても頑張ってる。アランのパジャマが可愛くて。デリックが布団をとると全裸なこと、夜な夜なかます屁に驚いて。そんなエジプト3日目は、1人で街散策。


まずはじめは博物館。ここに入場するには3度荷物検査がある。入場料は国際学生証があると半額に。これはエジプトではとても重宝します。どこでもだいたい半額で入れる。入場料の他に、写真を撮る場合はそのチケットと、別にミイラを観覧する場合にも追加のチケット。約1000円ほどで買えました。外装は赤で塗られたこの建物は、とても立派に見えた。いざ内部へ。日本のように順路はなくて、四方に通路が伸びて展示室が並んでいる2階建。とりあえず、中央の広いスペースから探索開始。石で造られた像や、碑に棺。ほとんどはガラス張りされるでもなく完全にフリータッチ状態。たまに壁の高いところに「don't touch」と書かれたボードがあるけれど主張が弱すぎる。日本のように一つ一つに説明書きがあるわけではなく、年代とか名前すらわからないものもたくさんありました。もう本当にたくさん。隅々まで古代エジプトの遺産が所狭しと並び続ける。これだけのものが発見されたら、それがあまり厳重に扱われないことが納得できます。子供連れの家族も多いけれど、ゆっくり見ることもせず、かなり早いペースで過ぎて行く。綺麗な彫刻とセルフィーをする女の子たち。これがエジプト。全て見るにはかなり体力が必要で、1区画ずつ15分くらいを1日ずつゆっくり回れたら、たくさんの気づきを得られそうですが、この圧倒的な量を前に1時間もすると頭が疲れてくる。それも全てが紀元前からの歴史を持つものだから、重厚な雰囲気をまとっていて。これほどのものが、もし日本で一つでも発見されたらとんでもない騒ぎになると思うのですが。ここの国の人は、ただ石造の遺産が発見されても、あまり感動できないくらい感覚が麻痺しているのではないでしょうか。ところどころ、教科書やテレビで観たことのあるものも現れます。展示物の多さに、もう参っちゃう。


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そんなこんなで2階へ。しばらく回ってたどり着いたのは、少し警備の強くなった入り口。ツタンカーメンの展示室。僕のイメージは、厳重で暗い部屋、物音を立てるのも憚られるような空気のその中央で、ライトアップされ神々しく輝く黄金マスク。そんなことはまるでなくて、窓からの明かりも入るような蛍光灯の点いた狭い室内に、装飾品と棺に囲まれた黄金マスク。でも正真正銘、目の前にある。裏側まで細緻な彫刻の施されたそれは、いつまでも眺めていられそうでした。人が変わっていく中で、長めに、その姿を留めるように。次は、ミイラ。その前には、ワニや魚、動物のミイラの展示室もありました。そんなことをする事態、悪趣味なことに思えますが、その形を留めようとする努力。気持ちもわかるかもしれない。それにすごい技術です。王家の人々のミイラは、髪の毛まで生えていたりする。思っていた以上に、表情とかもしっかりと残っていた。絶大な権力を持って、望んでこの姿になったのか。まさか、世界中の人の目にさらされるとは予想だにしていなかっただろうけど、ちょっと気の毒な気もします。これじゃあ昼寝もできない。この2部屋は撮影も禁止だったから、ゆっくり時間を使いました。でも、人の死体を見たらいくらか気が重くなって。見過ごしたものもあるかもしれないけど、後にすることにしました。


メトロに乗って。2駅のアダマへ。距離があるからとタクシーを勧められたけど、歩きます。この道を尋ねて回る感じ、結構好きなんです。人がたくさんいるこの街では、一定のペースでまっすぐ歩くのも簡単じゃない。避けながら、止まりながら。世界最大級、ムハンマドアリーモスク。駅付近の人は一向に言うことを理解してくれなかったけど、なんだかんだ着実に近づいていけて。何度も道を間違えながら、やっとそれに続く通りに出られた。途中でケバブを買って食べながら。言語の壁を越えて食べる飯はうまい。やっとの事でそれが見える広場に出た。後この坂を登ったら、入り口に着くはずだ。カイロの街が一望できると聞いていたこの場所へ。1時間半ぐらい歩いたけれど、世界遺産が待っていると思うと頑張れる。これで閉まってたりしたら辛いよなと思いながら、歩いていると道端のおっさんに呼び止められた。「3時に閉まったよ」えええええ。静かに終戦しました。急に疲れがきて、おじさんの隣の席に座りコーヒーをもらって。英語の話せるその人の話を心半分で聞いていました。でも、近くにいい場所があるから連れて行ってあげようか?危ない香りもするが、足も不自由なこの人からならさいやく走って逃げられる。ここまで来て、何もせずに帰るわけにはいかない。バイクの荷台に乗って、怖い気持ちと格闘しながら、着いたのはムハンマドアリーの家族の墓、らしい。閉園時間を過ぎて、全て鍵を掛け終わった扉を全て開けさせるおじさん。これは毎日言っていますが、本当になんでもありだ。ムハンマドアリーの奥さんが眠っているという墓の前に1人で立って、荘厳な雰囲気にどうもこれは確からしい。結局全ての扉が開き、屋根に登って景色を眺める。言われたほど大したことなかったけど。夕食を家族と食べてくれ、特別なものやるから金をよこせと言ってくるおじさんを振り切り、タクシーに乗って無事帰宅。このタクシーを呼ぶ時に、行きに知り合った子供たちが一緒に止めようとしてくれて可愛かった。英語のほとんどわからない子供たちは数少ないボキャブラリー、マネー、フ○ッキュー。お前らそのうち痛い目に遭うからやめておいたほうがいいぞ。


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そして帰ってネットで調べる。どうやら僕の行った時間、モスクはまだ開いていたようです。完全に騙されていた。それなりにいいものは見れたし、先に博物館に行っていたのもあって、なんとかいい1日だったと振り返られます。外観は見たしね。やっぱり、意味もなく話しかけてくる人は信用してはいけませんね。そして行く前にしっかり調べましょう。学びます。毎日勉強です。