オンザルーフ 〜日向ぼっこ〜

たとえ離れたところにいても、激しい雨に打たれていることを知れば、どうにか僕の傘を届けたいと思えるそんな人。力いっぱいに投げたその傘は、手にとる頃にはきっとボロボロで。嵐の中で使うには小さすぎるかも知れませんが、よかったら使ってください。冷えて体調を崩さなければいいなと願いながら、そうなったら今度は薬でも送ります。ただの親切ではありません。かつて君がしてくれたこと。お礼なんてもらわないくらいがちょうどいいので。まだ繋がっていることがわかったから、それだけでうれしいんです。


聴いている音楽で、趣を変える風景。高いところを群れて飛ぶ鳥たちは、それに合わせて幸福も悲哀も帯びる。道行く人とて同じこと。うれしい時は楽しそう。かなしい時は暗んでいる。そんな移ろいやすいものだから、あんまり気にかけることもない。気にかけたって悪いことじゃない。


道にまよった時に、たずねる勇気も大切だけど。少しずつまわりに人はいなくなって、助けをこえないこともある。泣きたくなったら泣いてもいいから、あきたら1つ選んでください。楽そうなもの、苦しそうなもの、短そうなもの、長そうなもの、下り坂、上り坂。たとえどれをいくにしても、自分で選んだことが大切で。力まなくたっていい、ひき返すこともできるから。それでも前にすすんだ時間は長いほうがいい。ほら見えてきたでしょ、君の周りにはまたこんなにたくさんの人がいる。


色は無限にあるんだから、どんな色になりたいか。悩みながらさがして、まちがったと思ったら白い絵の具をとればいい。寒色、暖色、なんどもためして。ほら、君によくにあう色がみつかった。自分の姿は捉えづらいかもしれないけれど、僕の目にはとても素敵に映ってる。


信じなくたっていいけれど、僕はもうウソはつきたくない。それに、誰にだってこう一生懸命になるわけじゃない。もっとうまく教えられたらいいって思うんだ。もっともっと。でもまだ僕にもわからないことばっかりだよ。ここからは一緒に考えよう。そして君は僕にも教えてくれるんだ。気づいてないかもしれないね。いい景色を君とみられたらいい。みられなくても、ありがとう。選ぶことの難しさは僕にもわかる。


君がいなくなったら、僕も自分の色をみつめなおす。変えようか、変えないか。こんなにたいへんなことをしていたんだね。そしてまた、わかれ道だ。ただ意識さえお互いもち続けられれば、離れていることはあまり関係ないみたい。

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僕は当時4年生。世界情勢なんて理解できなかったその頃に、あったことは漠然と、亡くなった方の名前や経緯をはっきり覚えていてはいませんでした。2004年、イラク日本人青年殺害事件。アンマンからバグダードへ向かいアルカイーダに捕らえられ、処刑された24歳男性。彼がヨルダンで滞在していたのは、僕が滞在しているクリフホテルでした。10年以上前の事件に今更発言することは行き場のないことなのですが、今はそんなところに立っています。自分もいつしか近い歳になって同じ場所、彼も見た街並みを眺めて。頭の中で起こった変化を真似てみることはできるけど、僕はその国に平和が訪れて、その地を穏やかに踏む日がくることを望み、待ちます。

 

体調も落ち着いたので、イスラエルに行こうと思います。入国審査が大変と有名で、緊張感もありながら、旅中出会った人たちは難なく通過できたようなので、そんなに心配しなくてもいいのかな。アンマンにはまた戻ってくる予定です。12日にアンマン発の飛行機を予約してあるので。この街は宿にいるばかりでほとんど歩けていないのですが、戻ってからも時間があるので、その時にまた見られたらと思っています。


イスラエルと言うと、またいいイメージばかりを持たれないかも知れませんが、現在はしっかりしていれば心配するようなことは全然ないので。街中に銃を持った人がたくさんいると聞きましたが、銃口の前でふざけられるほど肝は座っていません。安心してください。古く、そして複雑な歴史を持つ地域で、見たものを届けられたらと思います。