イントゥザワイルド(下)

それでも30日は1日中サファリ。6時半ごろに目覚め朝食を摂り出発。前夜11時まで修理に追われたワイクリフは、復活した2号とともに現れました。今日は存分に楽しんでやる。広大なマサイマラ国立公園。明確にゲートなどはなく、僕たちにはわからないボーダーがあるみたいです。バンは天井が上がるようになっており、そこから動物を探します。ちなみに降りると罰金210ドルと行っていました。早速ヌーが現れて高まる気持ち。開始からすぐにチーターを発見。珍しい動物がいるとたくさんの車が集まるのですぐにわかります。少し夢のない話になりますが、大自然の中にはっきりできた轍と車が入り込んでいる。これが現実です。それでも年末で多いのか少ないのか、人気な動物に集まるバンは最高でも15台ほどでした。そしてお待ちかねのライオン。若いオスが2匹いて、よく見ると離れたところで両親が見守っています。出会うことは思った以上に苦労がありませんでした。動物園でしか見たことのなかった彼らの野生の姿を目に焼き付けます。これは立派な夢になれるだけの出来事だと思いました日本での姿とは違い、艶のある毛並み。同乗者総立ちで眺めました。他のバンがいない場所で親子の像を発見。人間も動物も親子でいる姿は微笑ましいものです。写真を撮る側としては2匹がいいアングルで並ぶ瞬間を今か今かと待つばかり。不幸中の幸いと言いますか、新調したカメラは画質に劣るものの望遠に優れ、離れたところに見つけた動物も大きく写すことができました。車は縦横無尽に走ることはできず、ある程度道は決まっているようです。


詳細の説明は省略しますが、次から次へと現れる動物たち。どれも野生の姿は初めてだったので甲乙はつけられないほど、発見すると嬉しかった。ガイドブックなどは読まずに来たので、生息する中で出会えなかったものもいるかもしれません。そんなことは一向に気になりませんでした。アフリカでは共通にビッグファイブと呼ばれる動物たちがいます。サイ、ゾウ、バッファロー、ヒョウ、ライオンの5種類のことです。チーターやキリン、シマウマは残念ながら落選。幸運なことにこれらは全て目撃しました。親子のサイをとても遠くに、ヒョウに至っては木の高いところで昼寝している姿を1度見たきり、2度発見することはありませんでしたが、見られたのでノープロブレム。一通り願望が満たされると、早起きもあって当然眠くなります。ライオンや草食動物の群れを見つけては眠気を振り払いました。各国サファリは移動を含めた3日が最短なことが多く、5日、7日というツアーもたくさんあります。金銭的に厳しいこともありますが、よっぽど動物に執着があり、何かしら貴重な瞬間に立ち会いうことを欲していなければ必要ないと思います。2日連続周りづつけることでさえ僕には大変な体力とともにあるような気がしてなりません。


昼過ぎにたどり着いた地点はタンザニアとの国境。なんてことのない石に下手な字でKとT(両国の頭文字)とだけ書かれている。タンザニア側はセレンゲティ国立公園になっているようです。跨いでもなんの感動もありません。この境目の地点で昼食をとる。猿にバナナを奪われるなんてイベントもありました。散々注意されていましたが、いざというとき彼らを蹴飛ばすのは心が痛むくらいには、僕には優しさがあるようです。食後は鉄砲を持ったガイドに付き添われ、園内を流れるマラ川沿いを歩きました。ワニとカバ。カバは潜っているか頭の上だけ水面に出しているか。何十匹もいる彼らが顔を出した時に立てる音がアホっぽくて好きでした。


動物以上に楽しみにしていたと言っても過言ではない夕陽は、5時前からの夕立のため叶いませんでした。宿までの道は半分川のようになっていて、一度迷子になりました。アフリカは本当にワイルドです。初日ナイトサファリができなかった埋め合わせとして、帰るだけの最終日に6時から2時間サファリをしようと提案されました。ある程度のものは見れたからと思いつつ、スティーブ以外は参加することに。これが思わぬ幸運を招きました。2016年最後の朝日が登る前に宿を出発した僕たち。ケニアは朝晩は寒く、ベッドにいればよかったと思いながら走ること1時間ほど。白んでいた空に、雲の切れ間から登った陽に照らされたオスのライオンに出会いました。赤道に近い、強い光の太陽に照らされたその姿は全てを肯定してくれる。人が近くに集まっても何ら気にかけず、堂々たる風格。百獣の王たる所以。朝陽をバンで遮るような風情のない人たちもいましたが、この目にしっかり焼き付けました。その後も2匹のチーターとメスライオンの小競り合いなど、短い時間にもかかわらず密度の濃い朝活でした。宿に帰る途中、2号は再びを動きを止めました。こうなると公園内で止まらなかったことが奇跡としか思えません。運転手が道具を求めてさり、バンに取り残された僕らは現地の子供達に囲まれました。今回は簡単な作業で復活してくれてロッジで荷物を持って帰途につきました。行きと同じ昼食をレストランで食べ、終わる頃には1号が待っていました。何か別れてからだいぶ時を経たような感覚が。ここでも故障した他のバンからアラブ系の男女2名を当たり前のように拾い、最後まで狭い思いをしたままナイロビに帰ってきました。


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31日の17時前。日本ではもうすぐ新年という時間にロッジに戻った僕は2日間Wi-Fiが使えなかったのでゆっくりスマホを見ようと思いました。しかし5分もせずに元旦からのボランティアの車が迎えにきて、何もできないまま再び車に乗り込みました。これから3週間、IVHQという組織の提供する孤児などが暮らす施設でお手伝いをするプログラムに参加してきます。ホームステイになるので、アフリカの生活と習慣に密に触れられることが楽しみです。おそらくネット環境はなく、更新も減ってしまうと思います。同じところに滞在するので、旅行記感も薄れるかもしれません。それでも可能な限り、ここに言葉を残していこうと思うのでぜひお付き合いお願いいたします。