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「微笑みの国」から

このところ食べているものの中に虫を発見することがよくあります。特にスープ系の料理には、それこそ付き物のように。いつまでかの自分なら、発見した後は嫌になって残したかもしれない。今の僕は気にせず完食できるんです。それを喜びはじめたら、ただの変人なんでしょうけど、よっぽど枠をはみ出さない程度に気になるものが少なくなるのは成長でもあるんじゃないかな。大切なものは、なんだろう。たくさんの星を旅した星の王子さまと、自分を重ねたりしています。でも「大切なものは、目に見えないんだ」って。毎日たくさんのものを自分の目で見ているけど、ただ見ただけじゃだめなのかな。見たからこそ、そこにはない大切なものに気がつくのではないかな。そしてバラのことを考えたりします。ありきたりだけど、特別なんです。もともと持っていたのかすらあやしい自分ですが、広く捉えさせてもらうと、やはり大事なものが待っている。僕が帰るのに距離は問題になりません。気持ちです。王子さまよりはよっぽど簡単だろうけど、自分にとってはまだ難しい。それまで、どうか枯れないでいてください。


午後6時に出発したバスは順調に走っていきました。隣の席はJICAの支援で日本にいたことがあると言うおじさん。ラオスではかなりのエリートだと思います。最初は肩や足が当たることに、嫌悪感を抱いていました。なんとも小さいですが、他人と触れるのが苦手なんです。日本語で話しかけられてその気持ちはかなり和らぎました。単純というか、調子がいいというか。何度か目覚めながらも翌朝7時に国境に近いバスステーションに到着。2時間ほど待って次のバスに乗り込む。


タイへの入国。これは今までで最も簡単でした。荷物をチェックされるでもなく、長時間待たされるようなこともない。国境では苦労ばかりで、いい思い出はなかったので、順調にいくということがとても嬉しかった。出国、入国と難なくにスタンプをもらいました。そして3台目のミニバスに乗る。アメリカ人かというような、かなりヘビーでノリのいい運転手さん。かなり飛ばして、頻繁に前の車を追い越していく。怖さから、僕だけシートベルトをしていました。ケニア以来、久しぶりの右ハンドル、左側通行。運転がしたくなる。


途中の休憩所には日本のお菓子がたくさんありました。コアラのマーチなんかは日本語で書いてある。ずっと欲していた「おいしい」と書かれたペットボトルの緑茶。飲んでびっくり甘い緑茶。中国ではと聞いていましたが、タイ、お前もか。日本人は絶対に「おいしい」なんて言わないからな。


車線が同じなのもあってか、田舎道の風景はさながら母国にいるみたいでした。山の麓に点在する民家なんか、神奈川も西の方に行けばよく見かける。このまま真っ直ぐに進んだら、日本に着くんじゃないかなという気持ちになりました。たくさんある畑に備え付けられたスプリンクラーはスタンドがあって、上部が回転して水が撒かれている。これが大きなたんぽぽの綿毛みたいで、綺麗でした。区画の整った田圃が並んで、街が近づくと頻繁にセブンイレブンがあるんです。おにぎりが売っていたら嬉しいな。14時ごろにチェンマイに到着。かれこれ今回も20時間近くかかりました。途中は座っているだけですが、休めているかと言われたらそうではありません。猛暑の中、宿まで歩きました。滞在の評価も高く、なおかつ1泊300円ですよ。天国か。


部屋も快適で心地がいいので横になって休む。チェンマイには、イェルサレムと同様、旧市街と呼ばれる区画があって。あれほどの城壁があるわけではないにしろ、壁で覆われています。そこから歩いてすぐのところに泊まって、夕方ごろ食事を求めて散策。屋台が歩道に並んで、それまで3食はお菓子で我慢していたので、はしごして空腹を満たす。2軒目はSUKIYAKIという料理を50バーツで。日本のそのものではありませんが、おいしかった。"幸せは雲の上に 幸せは空の上に" あとはもう帰って休むだけの日。


翌日も消極的な日にしようと思って、半分はベッドにいました。暑くならないうちに朝から旧市街を散歩。何も調べることなく、行き当たりバッタリで。タイもワット、ワット、ワット。お寺がこれでもかというほどあります。たまたま通りから外れたところに、他よりも古そうなものが1つあったので引き寄せられるように入ってみました。工事中ではありましたが、自然と調和のとれた落ち着けるところ。自然との親和力を持つ、これは仏教の魅力ではないかと思います。建物の中に入ると、お坊さんが3人家族に説教をしているところでした。笑顔で話すこの人がとても感じがいい人で、鶴瓶さんもこんな方ではないのかなという、人の懐に入っていけるような話し方、笑顔の持ち主でした。普段はしないことですが、どうしてもこの人を残したくて写真を撮らせてもらう。別れ際に「さようなら」と言ってくれました。


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微笑みの国。笑うことの大切さを教わるこの旅で、どんなものかと楽しみにしていました。ただ発展する中で、薄れていくこの国の特性。街中でそれを感じる機会は、残念ながら多くありません。その精神の尊さを今に残してくれている人。名も知らぬお寺の境内に1人、この旅で得たものは間違ってなかったと教えてくれる場所。


そのあとはカフェに行って、サンドイッチとスムージー。最近どうも甘いものが欲しくなってなりません。長く人と行動を共にしていたことで、胃袋も大きさを取り戻したみたいです。食後のコーヒーをすすりながら、落ち着いて考えを整理する時間。少し高くつきましたが、おいしかったからよしとします。宿に戻って夕方まで、またダラダラして、日暮れの時に近くのお寺を見て周る。疲れているのか、冴えているのか、変なところに目が行く日でした。赤いものばかりの風景にシャッターを押す。アップで右乳首越しの大仏の顔を撮る。ゾウの置物を見て、あいつらはエロ目をしているなと思う。セブンイレブンで野菜ジュースとあんぱん、カップヌードルを買って帰る。できるうちにしておかなければ、これはきっと東南アジアだからこそできること。そしてまたベッドに入りました。休まった感覚は十二分にあるので、明日はまた動いてみようかな。チェンマイは街並みが整い、緑が植えられ、歴史ある建造物が並ぶ中に不便さはほとんどないに等しい。そんなところです。


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上の出来事。これは今日のことなんです。最近は更新が後々になっていました。せっかくの旅行記は、得た感情に鮮度があるうちに。賞味期限は3日くらいあって、なんとか辿って書くこともできる、食べられないことはないけれど、やっぱりできたてが1番美味しいよね。そんな気持ちなんです。またこれから先どうなって行くかはわかりませんが、気持ちを新たに。今日で出発から3ヶ月がたちました。新しい月のはじまりに、お互い頑張っていきましょう。