イントゥザワイルド(上)

年末、29日から31日まで念願であったサファリに参加しました。訪れたのはマサイマラ国立保護区。それを含め、ケニアでの日々について。


ケニアのナイロビに到着したのが27日の11時近くでした。その日は寝ることしかできず、翌日は同じロッジに滞在していたイスラエル人のオスカルが街を案内してくれました。日本の地も踏んだことがあるという、ツーブロックで緑色に染めた長い髪をポニーテールにし、鼻ピアスまでしている彼。趣向の伝わりやすい格好です。なんと10年間旅を続け、50カ国を訪問したと言っていました。母国に帰るのは2年に1度、数週間ということで僕の及ぶところではありません。その中でお気に入りの国をペルーと日本と言ってくれました。リップサービスでも誇らしい気持ちになります。近いうちに日本にまた行き、友人のいる浜松に滞在するそうです。ちなみに僕は浜松生まれなのですが、外国人の口から初めて聞いたこの土地で果たして何をするのでしょうか。


普段は街を歩くと頻繁に声をかけられる日本人ですが、白人を隣にすると興味はほとんど持っていかれます。ありがたいことですが、オスカルが気の毒でした。少しジェラシーを感じてみたり。栄えていればいるほど、同時に存在してる陰の存在に目がいきます。僕が見たアフリカの都市ではヨハネスブルグに並ぶこの街では、高いビル群に隣接するセントラルパーク。そこで昼間から新聞をひいて寝ている人々。国の中心地に全国から人が集まるのはきっとどこでも同じですが、安定した生活を手にできる人は果たしてどのくらいいるのでしょうか?またこの国の特徴として、どこに行っても銃を手にした軍服姿の人間を目にすることがあります。アフリカに来てからは何度かありましたが、日常生活で大型の銃を目にする機会のない僕には持っているだけでもおっかなく感じられます。特にナイロビには多く、緊張感のない顔と矛盾するように肩にかけられた武器。1人で歩いていて職質のようなことをされた時は緊張感がありました。パスポートを見せたら放してくれましたが。ヨハネスブルグと同じく、夜間の外出は止められる。発展と安全が両立するのは尊いことです。


銀行でお金をおろし、ロッジでサファリを予約できるということだったので3日で約3万円ちょっと。安くはありませんが、他と比べればだいぶマシ。アフリカに来たからには必ずしたかったことの1つです。ろくな説明も受けずに翌日の9時ごろに車が迎えに来るということだけを教えてもらいました。野生の動物を見られれば特になんでもよかったたので気にならず、この日は早く就寝。翌朝バンが思ったよりも早く到着し、予期していなかった僕は慌てて荷物をまとめ、眠たい目をこすりながら乗り込みました。同乗者は5人。アメリカ人のカップル、テムとエリザベス。カナダ人のピアー。イギリス人のスティーブ。彼と同伴のケニア人マイラ。マイラは事情があり初日に帰郷し、スティーブは別の(高級な)なロッジでしたが彼らには最後まで大変お世話になりました。同じ宿だった3人とは寝る時以外一緒にいましたが、ユーモアのセンスに優れていて笑いが絶えませんでした。彼らについていきたい一心、英語で冗談を言いたくてたまらない僕は「どうやったらファニーになれるんだ」と尋ねdaddy jokeの手解きを受ける。ようは親父ギャグです。何個か例を挙げてもらって、理論自体は簡単だけど英語でとなると十分に高度で、習得にはまだ時間がかかりそう。それとエリザベスって名前。歴史の中で名前が生まれてくる土壌はあるのでしょうが、元は無なわけであって。ヨーロッパの名前はいかにもオシャレに聞こえるので羨ましい。何世紀前か知りませんが、エリザベス生みの親はよほどキザな方だったのでしょう。話が飛びました。


6人の観光客に運転手のワイクリフ。楽しいドライブのはじまりのはずが、この日は災難続きでした。乗ったのはトヨタのバンでしたが、綺麗なものではありません。マサイマラまでは5時間ほどの予定、夜はナイトサファリということでした。結果から言うと、道中2台のバンが故障し、計3台を要してやっと目的地に到着しました。1台目は中間地点のレストランに着く前に異常を訴え、なんとかそこにたどり着いたものの2時間以上待たされる羽目に。どこの旅行会社もここで休憩を取るらしく、他の観光客が何度も入れ替わる中、前に進めないもどかしさ。新しいバンを借りて戻って来たワイクリフ。ようやく出発。道程の後半3分の1は、なるほどこれはバンが汚くなるわけだというような砂利道。車内が上下左右に揺れる揺れる。乗馬に体を引き締める効果があるのなら、これも多少は効果があるように思えました。途中で僕らと同じように不幸に見舞われ、立往生しているバンを発見。同情していると運転手間のやりとりで、首にコルセットを巻いたアラブ系の老人が乗り込むことに。後ろの席に追いやられたテムとピアーと僕。悪路を走る中でトランクからタイヤが座席にやってきて、足のやり場にさえ困ります。2台目のこの車は、1号と形は変わらないけれど、しばらく使われていなかったようで埃だらけ。座っているだけで服が汚れるありさまでした。首を痛めてるのか知らないが、こちらの気も知らない新しいお友達は鎮痛な顔を一度も見せることなく、永遠に誰かを相手に電話をしておられました。この道、この車、予想はしていましたが、予想であってほしかった。途中で車を停めるワイクリフ。どうやらタイヤにトラブル発生。次の街で僕らは2号も後にしました。薄い緑色の3号がようやく僕らを宿に連れて行ってくれました。ナイトサファリの時間はとうにすぎ、この日のイベントは夕食だけになりました。ここはテント泊で、中にベッドがありトタンの屋根が設けられた不思議な形状のロッジでした。ご飯が美味しかったから気持ちも静まりましたが、もう散々です。いつイントゥザワイルドできるのか。(続く)


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