おくりもの

日曜日、どこかへ行きたくなったのでマタトゥに乗って。意図していた行き先とは違うところに連れていかれたので、しょうがなく降りて歩く。この日は久しぶりに靴を履いていました。施設はただ立っていても汚れるようなところなので、平日はいつもサンダルです。久しぶりに履くと、その心地の良さに驚いて。歩ける、歩きたいとなりました。十字路に差し掛かり、最初に選んだ道はいくら進んでも建物が見えてこないので元の場所へ引き返す。かなりいい性格をしています。次に進んだ道は、少し行くとありました超近代的なモール。これは日本にあっても、たくさんの集客が見込めるだろうというような施設でした。コールドストーンまである。周りの道路が工事中だったことから察して、かなり新しいことがわかります。自分が降りた場所も、この施設の名前も僕にはわかりません。無料のWi-Fiが飛んでいたので、ライン電話をする。主たる目的はこれでした。本当にありがとうございました。自分が無口ではないことを再確認。学校の子供達はみな鉛筆を使っています。消しゴムすら持っておらず、鉛筆の上についた小さいやつで一生懸命消している。文房具コーナーにいくと、我らがPILOT製品がたくさん並んでいました。ここにもボールペンはあれど、シャーペンとその芯がないことからケニアでは普及していないようです。自分のクラスの人数だけ消しゴムを購入しました。喜ぶ顔が眼に浮かぶ。こういうところに来ると必ずすること。非常に心を躍らせながら、インスタント食品のコーナーを目指す。ここならカップヌードルを置いているかもしれない。結局ここにもなくて落胆。昼ごはんはサブウェイで。その他にもたくさんの飲食店。2000円以上する料理を見たのはいつぶりだろうか。スタッフと書かれたビブスを着た男たちが、セグウェイに乗って走り回っている。客層を見ていると、驚くほど白人やアジア人がいて。半分は彼らに占められていたのではないかと思います。ナオミの言ってたように、この国の所得格差は日本の比ではないようです。敷地内には人口の池、ボートまで用意されている。どこにいるのか、油断するとわからなくなりそうでした。


家に帰った後、夕食を食べてから1人でパブに出かけました。純粋な欲求からか、日常生活のプライドからか、どうしてもビールが飲みたくなった。週に一度は許してほしいところです。「頼む一杯でいいから奢ってくれ」これは飲んでいると現地の方に頻繁に言われることです。今夜のお相手は30歳。少し悲しい気持ちになります。年下にねだるようなことが、この先自分にないといいのですが。ビン1杯で十分気持ちよくなれるので、かなりいい体質をしています。こんなことでも、曜日感覚を失いやすい旅に休日感を与えてくれます。「お前は毎日が休日だろ」その通りです。


また平日が始まり、学校へ。これが最終週。通い慣れた道が、すでに少し寂しい気持ちににさせられる。なんでも口に入れる愛すべき生徒たち。あげた消しゴムも、しばらく経つと彼らの口の中にありました。「やめなさい」ちょっと笑ってしまう。この日の昼食は先日届いたチーズをふんだんに使って、ジャガイモと混ぜたもの。2週間、昼ごはんはウガリに豆か野菜。これが必ずだったので、少し違和感があります。正直、手で食べるウガリの方が好きです。


休み時間、隣のクラスに連れていかれて何かと思ったら、男の子2人が手紙を渡してくれました。少し早くないかとも思いましたが、3年生でよく僕の手を繋いでくれるこの2人。自分のノートを2枚ちぎって、1枚を便箋に、1枚を封筒に。封筒には絵を描いてくれて装飾がしてあります。こんなにもらって嬉しかったものもそうありません。結局、ここでも僕が与えられる。1人でものすごく感動的な気持ちになってしまって、午後の授業は穏やかな気持ちで迎えました。


これをもらって喜んでいる姿を見ていた自クラスの生徒たち。みんな大切なノートをちぎって手紙を作ってくれる。どちらかと言うと封筒に絵を描くことに必死です。それもこっちが授業をしているのをそっちのけで没頭。叱るにも、叱れない僕。ノリも持っていない彼ら。この封筒をとめてある粘着力のある物体は果たしてなんなんだ。それでも彼らの気持ちを思えば、僕はそれを舐めてもいいような気分です。一生懸命勉強している英語で書かれた手紙の内容はどれも似たような、いやほぼ同じといって差し支えない。翻訳して一部抜粋させていただきますと


"僕はゆうたをとても愛しています。あなたに神のご加護がありますように。僕の名前は○○です。僕はあなたを愛しています。あなたに神のご加護がありますように。ゆうたに神のご加護がありますように。僕のことを忘れないでね。"


泣かせるじゃないかキッズ。結局8通ももらってしまいました。それにしても、特定の神を信仰していない僕にご加護は与えられるのでしょうか。神様、これだけの無垢な子供たちが僕のために祈ってくれているのだから、ぜひとも僕を無事に日本まで導いてください。どうかよろしく。これはいつまでたっても捨てられないだろう。どこかのタイミングで盗られることを覚悟していたバックパックも、死守しなければならないという気が芽生えてきた。


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ここでの生活は家と学校との往復ばかりで成り立っていて、子どものそばにいることがなにより大事に思えるので他を探検するでもなく、少し離れるとわからないことばかりだ。学校の終わった後、その周りを案内してもらって新鮮さを味わいました。学校ばかりでは退屈だろうと言う方々の気遣いはとてもありがたいけれど、本音を言うとやっぱり子どもたちと少しでも一緒に居られることが僕にとっては何よりも嬉しい。終わりが近づいて、その想いは増すばかりです。


家路の途中で、今日もハンバーガーを食べて。心なしかへこんでいたお腹が、ぽっこりし始めてきたような。これはいけない筋トレだ。腹筋2回。よし終わり。ここを離れたら、またへこむばかり、なはず、です。麺への愛ばかり語ってきましたが、やっぱり1番は「日本人の心」お米です。お米を食べられるのもせいぜい週2回といったところです。それも日本の米とは似て非なるもの。そして今日はモンスターなんぞを飲みましたが、緑茶です。緑茶が飲みたい。コカコーラ製品は世界中どこにでも、しかしそこに日本では当たり前のように並ぶお茶の姿は見当たらないのです。コンビニでお〜いお茶とツナマヨのおにぎりをセットで買う。チープながら、無性にこれをしたくなることがあります。今はよくてコーラとチキン。


誇ってください、日本人のみなさん。あなた方はたいへんにスマートな体型をしていらっしゃる。世界基準になった今の僕の目には、必要以上にテレビに登場する大型の女性芸人たちが標準体型に見えることでしょう。世界中には、僕が2人入るパンツを履いた人々がどれだけいることか。1度世界に出るといい、あなたのちっぽけな悩みなんかたちどころに消えてしまうはずです。自信を持ってください。まあそんなことは、どうでもいいのだけど。